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ビーチバレーはコミュニケーションを取る相手が1人だけ。その分、お互いに思いやりを持って動くことがすごく大切。そこがインドアとの大きな違い。

Beach Volley Interview-1

(プロフィール)
三浦早苗さん/デフビーチバレー選手。第3回世界ろう者ビーチバレーボール選手権(2020年)推薦選手としてトレーニングに励む。第23回夏季デフリンピック競技大会女子バレーボール金メダリスト。ほけんの窓口グループ株式会社(障がい者アスリート職)。

畠奈々子さん/デフビーチバレー選手。三浦さんとペアを組む。第23回夏季デフリンピック競技大会女子バレーボール金メダリスト。田辺三菱製薬株式会社。

一般社団法人デフビーチバレー協会の日本代表強化選手として活躍されている、三浦早苗さんと畠奈々子さん。元々はデフリンピックで金メダルを獲得したインドアバレー選手であり、2017年に転向。
2019年ポーランド国内No.1を決める大会で、海外チームの参戦が初めて認められ、招待選手として参戦し見事優勝。今年9月に行われる、第3回世界ろう者ビーチバレーボール選手権にも推薦選手として決定しているお二人の、生い立ちを語って頂いた。

ポーランド大会で優勝されました。その時のエピソードを教えてください。

三浦 ポーランド大会はポーランド国内のデフ選手だけのビーチバレー大会なのですが、特別に日本からの選手を招待したいと言うお話を頂き、男子2チーム・女子1チームが参加させていただきました。女子の私たちは6試合して、トーナメントの勝ち抜き戦で優勝しました。

ー すごいですね。ペアでされているんですよね、強いところもあったのですか。

三浦 すごくラリーが長くて苦しいチームがあったよね。

 私はポーランド大会がビーチバレー選手としての初めての大会で、まだビーチバレーを始めたばかりなので、インドアバレーの経験を活かして頑張りました。

ー すぐに優勝しちゃったんですね。すごいですね。

 私もびっくりしました(笑)

ー  ビーチバレーに出会ったきっかけはなんですか。

三浦  私も畠さんと同じで、元はインドアバレーをやっていました。ずっとインドアバレーを続けていたので、新しいことに挑戦したいという気持ちがあって。友達に「ビーチバレー大会に出てみない?」って誘われて参加してみたら楽しくて、太陽の下でスポーツをすることが久しぶりで、すごく楽しかったんです。

 私は インドアバレーをやっていた時からビーチバレーがあるっていう事は知っていたんです。でもそこまでやりたいって言う気持ちはなかなかなくて。早苗さんから「一緒にやろう」って声をかけてもらったのがきっかけで、一緒に日本代表として頑張ろうって思いました。

ー インドアバレーとビーチバレーの違いはなんでしょうか。

三浦  1番大きい違いは人数だと思います。インドアが6人に対してビーチは2人。少ないから動く範囲がすごく広いので、体力もすごく使う。コミュニケーションをとる人が1人だけなので、コミュニケーションを取りやすい分、考えないといけないことが多かった。だけど2人だけしかいないから、お互いに思いやりを持って動くことがすごく大切だと思う。私の中ではそれが大きい違いだなって思います。

 私はビーチ、とてもしんどいです(笑)

全員 (笑)

 小学校からバレーをやっているんですけど、砂の上で走ることがなくて。ボールを追いかけるのは好きなんですけど、砂の上ってなると、すごい体力を奪われて…。しかも、砂に足を取られるので、走れない。すごくしんどいです。それが大きい違いです。

ー 普段の練習はどのような感じなのでしょうか。

 私は平日仕事をしているので、土日だけ練習しています。練習場所は、兵庫に住んでいるので、大阪で健聴者と一緒に練習しています。

三浦  私は会社にアスリートとして雇っていただいているので平日週3回、健聴者と一緒に練習しています。場所は神奈川県藤沢市の海のところにビーチバレーコートがあるので、そこで練習しています。

ー 普段の食事で気を付けていることはありますか。

  私はよく食べるので。週に2回トレーニングをしていて、そのトレーナーさんに食事の面でもサポートしていただいています。

三浦  私はすぐに痩せるタイプなので、食事が少ないと痩せ過ぎてしまうし、疲れやすいので、すごく食べるように意識しています。特にタンパク質を摂るようにしています。練習の時間が長い時は、疲れすぎて食べられない時もあるので、その時はプロテインを飲むなどして工夫しています。

ー 食べることが嫌になるくらい練習がたいへんなのですか。

三浦 夏は暑すぎて汗を大量にかくので、どうしても食欲が落ちてしまいます。

ー ポーランド大会など国際大会に参加したり、合宿に行ったり、遠方に行ったりいろいろあると思うのですが。お金の面でも大変かなと思いますがどうですか。

  私は今、社会人なので会社からのサポートがあって、お金に関しては特に困っていないです。

三浦  私は今、アスリートとして雇っていただいている会社に「1年間いくらまでなら活動費を出しますよ」とサポートをして頂いています。でもやっぱり選手の中には自己負担で遠征や合宿に参加している人もいます。私たちは幸い、いろいろとサポートしていただいています。

ー ビーチバレーの選手で他のろうの選手はご存知ですか。

三浦  私はインドアバレーの選手に「ビーチバレーの大会に参加しない?」って声をかけているので、今は少しずつ増えてきて。うーん、女子と比べたら男子の方が多いかなぁって思います。女子は日焼けがイヤって言う子もいるので、男子は日焼けは別にオッケーって参加してくれるんで(笑)多い時で40人ぐらい…?

 男女合わせて?

三浦 いや、男女合わせてなら50人ぐらい。大会の時は。

 なるほどそんなに多いですか、増えてきているんですね。以前は少なかった?

三浦 前は少なかったんですけど、頑張っていろんな人に「一緒に大会に参加しませんか」って声かけていたので増えてきました。

 サッカーとかフットサルの場合は、兼任するっていうふうに聞いているんですけど。インドアバレーとビーチバレーを兼任するっていう方もいるのですか。

  私はインドアとビーチバレーを兼任していますが、今はビーチバレーを優先しています。

一般社団法人日本デフビーチバレーボール協会(DBVA)とは
2017年に発足した聴覚障害者のビーチバレーボール団体。聴覚障害者スポーツ全般及びデフリンピックでの活躍を目指し、日々練習に励んでいる。デフビーチバレーボールの国際大会は、大分県が日本唯一の開催地となっている。

取材:那須かおり
撮影:加藤雄三
文:津金愛佳